第03回
学生と共に歩む「ワーク・イン・ライフ」
学生部長 久保 哲也
正直に申し上げますと、私はこれまで「ワーク・イン・ライフ」という言葉を認識していませんでした。昨年、初の女性総理大臣が誕生し、所信表明で「働いて、働いて、働いて」「ワーク・ライフ・バランスをぶっ潰して」という強烈なフレーズが飛び出したときでさえ、「いや、ぶっ潰されたら困ります」と小さくツッコミを入れた程度で、働き方の概念について深く考えたことはありませんでした。
というのも、私は“ワーク・ライフ・バランス”こそが働き方の標準装備だと思い込んでいたからです。そんな私が「ワーク・イン・ライフ」を語るのは恐縮ですが、今回の寄稿をきっかけにその意味を調べ、自分なりに向き合ってみようと思うようになりました。
「ワーク・イン・ライフ」とは、仕事と生活を切り分けるのではなく、人生の一部として自然に溶け合わせ、互いを豊かにしていく考え方だと理解しました。これまで私は“仕事は仕事、生活は生活”と線を引いていたつもりでしたが、振り返るとその線はとっくに消えていました。むしろ、気づけば両者は自然に混ざり合い、互いに影響し合っていたのです。
学生部長としてキャンパスの活性化に努め、体育教育の教員として心身の発育発達に寄与し、剣道部の顧問として学生と稽古を重ねる。これらは職務であると同時に、私の生活そのものでもあります。学生の笑顔や挑戦する姿に触れると、家で息子たちに向き合う際のヒントをもらうこともありますし、剣道部の稽古では学生より先に息が上がりながら、「これもワーク・イン・ライフだ」と自分に言い聞かせて竹刀を握っています。
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家庭では、小学生の息子たちと自然の中で過ごす時間を大切にしています。夏には海で魚を捕り、昆虫採集や飼育を通じて大自然の営みに触れる。こうした体験は子どもたちの成長を支えるだけでなく、私自身の教育観にも新たな視点を与えてくれます。大学での経験が家庭に活かされ、家庭での学びが大学に還元される。この循環こそが、まさに「ワーク・イン・ライフ」なのだと感じています。
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とはいえ、私はまだこの考え方を完璧に体現しているわけではありません。むしろ今回の寄稿が“スタートラインに立った瞬間”です。これからは、仕事と生活を切り離すのではなく、互いに育み合う視点を意識しながら日々を過ごしていきたいと思います。学生や家族と共に歩みながら、私なりの「ワーク・イン・ライフ」を実現し、充実した日々を重ねていく所存です。