第05回

「窓」は不定期連載のコラム欄です。窓を開けて風通しを良くしたいという思いから「窓」と名付けました。ダイバーシティに対する思い、ダイバーシティに対する期待等、皆さまからのご投稿をお待ちしております。推進室ではダイバーシティ関連の書物や学外のフォーラム、他大学の取組みなど、幅広く情報収集しておりますので、これらの情報もこちらにてご紹介してまいります。

「TCU ダイバーシティ通信Vol.8」の本コラム欄に津村先生が御投稿くださった記事は、研究者のための育児休業制度の在り方について、改めて考えさせられるものでした。育児休業中であっても定期的に研究室の学生の指導をしたい、あるいは研究成果を学会でタイムリーに発表したい等々、可能な範囲で研究を進めたいと思われる研究者は大勢いらっしゃるだろうと思います。最近ではリモート会議やそこで使用できるオンラインのホワイトボード機能など、様々なソフトが充実してきており、育児の合間に自宅から研究活動を行うことを可能とする環境が整いつつあります。

令和4年4月1日から男性の育児参加を促す仕組みが段階的に実施されますが、その中に男性が育児休業とは別に取得できる「産後パパ育休制度(令和4年10月1日より施行)」があります。子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能ですが、この期間は所定労働日数(時間)の半分以内で「労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能」となっております。これを受けて本学の規程も整備されております。このような制度が設定されたことは、仕事にも、育児にも、どちらにも携わりたいという男性の方々にとって朗報ではないでしょうか。しかし「産後パパ育休制度」に続けて設定されている育児休業は、従来通りですので、この期間については育児も仕事も十分に、というのは難しそうです。

その一方でこんなことも考えてしまいます。正直なところ乳児を抱えて家事もしながら在宅で仕事もこなす、と言うのはかなり大変です。なぜそんな大変な思いをしてまで仕事をしたいのでしょうか。もちろん仕事が好き、研究が好き、と言う気持ちが一番にあろうと思います。でもそれだけではなく、例えば1年間育児休業を取得した場合、自分のキャリア上、大きなハンデになる、と感じられることも理由になっていないでしょうか。しかし、北欧諸国のように、子供が生まれたら夫婦そろって育児休業を取得するのが当たり前の環境にいたら、どのように感じるのでしょうか。男性、女性問わず育児休業を皆、必ず取得するのなら、それをハンデと感じる人は減るのではないでしょうか。

これは残業についても同じことが言えると思います。今の日本では、男性並みに長時間労働ができない育児中の女性に対して風当たりがきついことがあり、子供を持つことはキャリア形成上の大きなハンデになっています。一方、ドイツの技術者は男女を問わず朝7時頃に出社して3~4時に退社することが多いようです。このような勤務形態であれば、女性にとっても育児はハンデにならなくなりそうですね。子供のための時間がある程度確保できるのみならず、夫がその時刻に帰ってきてくれれば、家事・育児の戦力として考えることができますから、ゆとりをもって子供に接することができそうです。

私自身、育児休業の取得には相当抵抗がありましたし、実際に在宅勤務で乗り切ってきましたが、子の福祉と言う観点で考えたとき、これでよかったのかと今も疑問に思っています。何より我々はもう少し余裕をもって人生を送っても良いのではないでしょうか。配偶者にも子供にもしわ寄せが行くことなく(現在は女性の側にしわ寄せが行く場合が多いですね)、そして自分自身も充実した人生を送れる、その落としどころを探していく、そのために業務の合理化を真剣に考える、そういったことが必要なのかもしれないな、と思いました。

(投稿者:ダイバーシティ推進室・伊東)

「ダイバーシティ」についてあらためて考えてみる

実は、私個人としてはこれまで普段の生活の中であらためて「ダイバーシティ」について考えたことはありませんでした。元来不器用というのもあって、ひたすら黙々と自分の思う「仕事」をする生活が30代半ばまで続いていました。そんな中で、結婚、出産、仕事上の転機などが立て続けに訪れたことで、否応なく考えざるを得なくなったというのが本音です。

子供は自然物ですから、育児は仕事以上に計画通りにはいきません。それでも何とか育児と仕事の両立を踏ん張れているのは、周囲の協力して下さる方たちと子供の成長のおかげです。とはいえ、周囲に迷惑をかけ続ける状態に落ち込み、自己嫌悪になることも少なくありません。そもそも、私が周りに恵まれているのは単なるラッキーでしかなく、それにタダ乗りせず無理のない形で上手に頂いた分を返せる働きをしたいとも思っています。しかし、このラッキーをもってしても、実際の育児と仕事の両立は大変です。育児に限らず、介護なども同様であると推察します。であれば、偶々ラッキーに恵まれなかった人は、ライフステージの変化があったときどうなってしまうのでしょうか。そういったアンバランスが起こらないよう「ダイバーシティ」を全員で考える必要があるのかな、と今では思っています。

今、私が強く感じているのは、皆がきちんと仕事をしているにもかかわらず、システム上の問題で生じる無理やひずみを改善できないかということです。産休・育休取得にあたり届けを提出しているにもかかわらず、その情報が学内全体に伝わらず、産休中には対応不可能な業務連絡が届いたりすることや、日常業務の代替が実質的に関係部署内でどうにかして下さいという親切ベースを期待したシステムになっている現状は、周囲の協力者や環境に恵まれている人しか乗り切れないという状態を生み出してしまっていると思います。また、フォローする側の負担も大きくなります。

誰かの親切だけに頼った「ダイバーシティ」推進は必ずどこかで無理が来ると思います。まずは、多くの人にメリットをもたらせるような、漏れや抜けの無いシステムの確立を目指すことが大切なのではないでしょうか。

(投稿者:R.S)